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ホテルのケーキはなぜ違う?元パティシエ助手が語る真相

ホテルのパティシエ(後)

 
今回は前回紹介しきれなかったホテルパティシエの仕事を紹介しよう。
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 これはホテルで定期的に開催されるイベント全般での特別な仕事だ。
具体的にどんなイベントがあるのかというと、

 デザートバイキング/レストランバイキング
 芸能人などが来るディナーショー
 ブライダルフェアー
 料理教室  主にこのような感じ。
特にバイキング系が私のホテルでは多く、デザートバイキングは毎月2回、しかも一日2回ずつ。
レストランのバイキングは基本的に毎日あり、GWや夏休み、冬休みのシーズンになると本格的になる。

 いずれにしろ、どのバイキングでも、デザートを楽しみに来る女性客は非常に多いので、1日で大量のデザートが消費される。

 デザートバイキングには毎月旬の素材などがテーマとなっていて
(例えば2月はチョコレート、5月は抹茶、など)
そのテーマのデザートだけでも10種類は確実に用意していた。
もちろんお客さんが味に飽きてしまうことのないように、テーマ以外のデザートも数多く提供する。
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 チョコレート、とたった一種類の素材から、本当にたくさんの種類のデザートができる。

 ガトーショコラ、チョコレートムース、ザッハトルテ、チョコロール、ガナッシュのショート、チョコシュー、ココアマカロン、ガナッシュタルト、ココアシフォン、チョコパウンド、トリュフhart hart hart などなど挙げたらほんとにキリがない(笑。
同じようにホワイトチョコレートでも作る。

 最低月にに2回はバイキングがあるので、大抵、一つのバイキングが終わると、
次の日からまた次回のバイキングの準備をやり始めるといったペース。
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 数ヶ月に一度は俳優やお笑い芸人などを呼んで、大規模なディナーショーや、ビュッフェを執り行う。
会食形式のショーなら、何百人分ものデザートをお皿に美しく盛って食後に提供。
ビュッフェ形式のショーなら、バイキングと同様、多種類のプチガトーを食べ放題にする。

 ブライダルフェアーは年に2度くらいだが、スタイリッシュなデザインのウェディングケーキを数種類展示用に製作しなければいけない。
小学生の造形フェスティバルのような感じといえばわかりやすいかもしれない。
それを数種類作って展示する。
フェアーに参加したカップルや親子には生ケーキのプレゼントもつける。

 料理教室は毎月あるが、パティシエが自ら生徒さんに教えることはそんなになかった。
ただ、ちょっとした小技でも意外に教えることは難しく、体で覚えているパティシエにとっては、教え方に苦労していたようだ。

 また、料理教室ではないが、フラワーアレンジメントの教室が毎月数回にわたって
ホテル内で催されていて、参加者全員に創作ケーキをプレゼントしていた。
 生徒がおしゃれな女性ばかりということもあり、ケーキもいつも花に負けない美しく手の込んだものを考えていた。
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 これも毎月お題が与えられていたため、
1週間前から師匠が紙とペンを手に、設計図(?)に挑んでいたのを覚えている。 pen3

 大きなイベントはこんな感じだが、それ以外に、クリスマス、バレンタイン、母の日など、
祝祭日用デコレーションケーキが時期ごとにやってくることを忘れてはいけない。

 みんなの楽しい休日は、パティシエにとっては仕事日和なのだ。 pen4
一見きつそうに聞こえるが(まぁたしかに辛いけど)楽しかった♪

   ・会食
 これは先ほども少し触れた、各イベントでの会食も同じだが、具体的な仕事を説明すると、もっと作業量は多い。

 そもそも会食とは何なのか?これはコース料理のことである。
洋食の場合、(イタリアンやフレンチのコース) オードブル→スープ→魚料理→口直しのシャーベット→肉料理→サラダ→デザート
の順番で料理を提供する。
 このうちパティシエが担当するのは、食後のデザートと、フルコースの場合
(魚と肉両方つくコース)のシャーベットぐらいだろう、、、と考えては甘い。 pen5
ホテルによってもちろん違うが、ここのパティシエはデザート以外の料理も手伝う。
   温かいものは温かいうちに提供することがベストであり、プロの職人は常にベストを尽くす。
会食が団体客で入ることはしょっちゅうあった。
私のホテルでは、コックさんの数が比較的少なく、
大人数でコース料理が出ると、目が回りそうなほど大変だった。

 そういう時はいくらデザート担当とはいっても、料理厨房のヘルパーとして
働くことが求められた。ホテルならではの仕事と言えるだろう。
私の師匠は、デザートだろうが、料理だろうが何でもテキパキとこなしていた。
もちろんその分コースのデザートで手を抜くなんてことはありえない。

 このような団体の会食は多いときで週6~7回あったため、決して無視することはできない

 この会食の仕事に平行して触れておきたいのが、出張先でのサービスだ。
出張???と思うかもしれないが、パティシエも出張にはよく行くのだ。 pen7
出張先は主に、結婚式会場、大企業やその関連企業、またそれらの企業が運営しているゴルフ場などである。

 仕事内容は基本的にはホテル内と似ている。
大抵、そういった会場や企業は裏に厨房を持っており、そこを使うことが許されている。
あらかじめ仕込んできた料理やデザートを温めなおし、最終仕上げをして、提供する。

   出張でもパーティー形式のときと、会食形式のときがあり、
客層は大企業では上層部のお偉いさん方や、海外から来た幹部だったりする。
パーティー会場などでサービスをする際、TVニュースなどで観る顔が、
お酒を飲んでご飯を食べているのを見ると不思議な感じがしたものだ。
   運がいいと、外国のお客さんとの会話もできる。
彼らは日本の食材に大きな関心を抱いているのか目新しいものを見つけると、
あれは何?と聞いてくる。彼らは偉い人たちなんだろうけどとても感じがよかった。

 このような出張のときは、ボーイさんやホテルの支配人級の社員と
連携プレーで仕事をすることが多く、いろいろな業務を勉強することができた。
ホテルで働くことの特権といえるだろう。

 しかし出張に出かけると、移動時間なども含めて、当然ながら半日以上費やしてしまう。
そのため、その日の仕込みやホテル内での作業が多い日などはかなりハードなスケジュールになる。
師匠は出張にもよくかりだされていたため、忙しい日は休憩する間もなかったほどである。

 2回にわたってホテルのパティシエの仕事を紹介してきたが、
実際にはまだまだある。材料や器具とうの発注、原価計算などなど。

長時間のこの作業に疲れ、頭脳の回転が鈍くなってきたので、この辺にしようと思う。
 文章に不手際が多々あると思うが、それはまたそのうち直すことにする
私が一番言いたかったことは、ホテルのパティシエの業務は
ケーキ店のそれと比べて、業務の種類が多い、ということだ。

 普通のパティシエはレストランのデザートを盛る必要なんてないだろうから、
できない人もいるだろうが、ホテルのパティシエはシェフ顔負けの盛り付けをする。
そしていろいろな厨房を見ているため、料理全般の知識を持っている。

 その分デメリットもある。
ケーキを作る時間が限られているため、新作の考案などは業務時間内では
ほとんどできない。あちこち移動するので、体力的にもキツイ。

 次はそういったデメリットの部分をお話しようと思う。
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